共同経営を友達とすると失敗する原因|学習塾での事例を経験談を元に紹介

トラブル

共同経営を友達とする!」という言葉はとても美しく聞こえます。

しかし、友達であるからこそ、対等な関係であろうとするからこそ失敗してしまうことがあります。

私も中学校からの親友と共同経営で学習塾を開業した経験があります。

充実していて上手く行っているなーと思えていたのですが、最後は裏切られて地域での信用を失うと同時に400万円ほど赤字を背負うことになりました。

そんな私の学習塾で共同経営を友達とした経験を踏まえ、なぜ失敗するのか?どこに気をつければ回避できたのか?紹介します。

共同経営を友達とする魅力は?

友達と共同経営で事業をはじめるというのは想像するだけで楽しく希望に溢れています。

対等な関係で協力しあって事業に取り組める。

・お互いの苦手とするところを補い合える

信頼した仲間とチームを組んで取り組めば、何でもできそうな気がする

では実際に友達と共同経営をはじめるとすれば、どのような形で事業をはじめればよいのでしょうか?

共同経営を友達とはじめる方法と事業形態について

共同経営といっても形はさまざまです。

それぞれにメリットやデメリットがあります。
一般に知られているものとして次の4つの方法があります。

①2人が別々に個人事業主になり、有限責任事業組合(LLP)をつくる
 メリット:売り上げ・経費の完璧な折半ができる。
 デメリット:取引先に均等に分けて入金してもらう必要がある。

②会社を設立
 メリット:信用が高い。
 デメリット:設立の費用がかかる。

③1人が個人事業主になり、もう1人に業務の一部を委託
 メリット:業務内容を完璧に分けられる場合、実践しやすい。
 デメリット:明確に業務を分割しなければならない。

④1人が個人事業主になり、もう1人を従業員として雇う
 メリット:手っ取り早く始められる。
 デメリット:責任やリスクはすべて個人事業主が背負わなければならない。

友人と共同経営をしようと思っているときに考えることは、得た売上も経費もすべて均等に分け合いたいという思いですよね。

この理想に一番近いのは「①2人が別々に個人事業主になり、有限責任事業組合(LLP)をつくる」か「②会社を設立」です。

私が「個人事業主として友達と2人で学習塾をはじめた」理由

LLPが一番理想の形に近いと思いましたが、管理が大変だと聞いたため選びませんでした。

会社の設立を選ばなかったのはその手間と、担当教科を文系と理系に自分たち2人で分けてやっていく学習塾だったこと。法人化は将来的十分な利益が上がってから視野に入れる程度でいいと判断しました。

一部の業務委託は、完璧に業務を分ける必要があり、むしろ一緒に考えて協力していきたいという理想とは違うと思いました。

そのため、私の場合は「④1人が個人事業主になり、もう1人を従業員として雇う」という形をとり、私が個人事業主で友達を従業員として雇うことにしました。

学習塾の共同経営で友達と対等な関係を求めることの理想と現実

1人が個人事業主、もう1人が従業員として雇用される。

この形の問題点は特に責任の比重や所得の面で2人が全く異なることです。

すべての責任は個人事業主

2人の間ではお互いが対等な関係と思い込んでいます。

しかし、対外的にはそうではありません。

あくまで個人事業主の私が運営している学習塾なのです。

生徒はあまり気にしませんが、学校とのつながりも保護者対応においても主となるのは個人事業主です。

何か問題が起こった時にも責任を取らなければならないのは個人事業主です。

事業所得と給与所得の違い

そして、お金に関しても異なります。個人事業主は売り上げから経費を引いた金額が所得になり、雇用される側の給料は経費の一部にあたります

ここには税金のかかり方に大きな差が生まれます。

例えば「売り上げが50万円あり、従業員側の給与を20万円に決定し、個人事業主も20万円もらい、残りの10万円をプールする」と2人の間で取り決めても、これで話は終わりません。

従業員は20万円が給与所得として税金がかけられますが、個人事業主はプールした金額も合わせた30万円が事業所得として税金がかかります。

気持ちの上では折半したつもりでも税金の計算では全く違います

源泉徴収などの作業も踏まえると2人に違いがあることは明らかです。

均等に分けよう、リスクも何もかもすべて等しく二人で分け合おうと決めても、現実はその通りにはいきません。

共同経営を友達としても失敗しないためのポイント

ここからは私の実体験を踏まえて、本当にその友達と共同経営で学習塾をしても大丈夫なのか?を見極めるべきだったチェックポイントを挙げていきます。

「一人でやるのが不安だから」誰かとやりたいと思っていないか?

共同経営をするメリットの一つとして、「一人でやるのは何かあったときに不安だから、誰かと相談しながらできる」というものが挙げられます。

しかし、これは「自分が何かあった時に責任を取らなくてもいいための言い訳」を探しているだけです。

一人でやる自信がないならば、いっそ起業することを諦めた方がいいかもしれません。

不安を補えることをメリットとして考えていると、いざという時の決断に迷いが生まれます。

どれだけ長い時間を共有していても崩れるときは来る

古くからの友人であれば、積み上げてきた信頼関係がある」と思ってしまいます。

いろいろなことを一緒に経験してきたし話し合ってきたし、おかしなトラブルを起こすこともないだろうし、もし万が一にも事業が失敗して廃業する時にも飛んで行ってしまうことはないだろう

 

私もそう思っていました。

なかなか生徒が集まらなかったり、成績が思うように上がらないことはあるだろうけれど、2人なら大丈夫と思っていました

時間という圧倒的な資産で構築した人間関係なんだから強固なはずだと。

しかし、どれだけ長く時間を共有してきたとしても、これから立ち向かうトラブルや境遇を共に乗り越えた経験はありません

今までやってこれたから大丈夫、という保証はどこにもありません

「友達」と「ビジネスパートナー」は共存できない

共同経営友達とするにあたって、2人の間で責任の所在や出資割合などのルールを書面に残して厳密に決めておくことが重要です。

しかし友達だからこそ、そうした話し合いをすることが心地悪く感じてしまうこともあります。

あなたが意を決して話を振ったとしても、

友達は

「なんで今更お金の話なんてしなくちゃいけないんだ?

 何かあった時は二人で均等に割ろう、乗り越えよう?って言ってるじゃん!」

そんな風に言ってくるかもしれません。

私は実際に言われました

そこで気づくべきでした。

友情を感じられるすごく聞こえがいいフレーズですが、現実はきれいごとだけでは済まないのです。

あなたがビジネスパートナーとしようとしている友達はどうでしょうか?あるいはあなた自身はどうでしょうか?

友達だから大丈夫と思っていませんか?

お互い分かり合えているつもりでも、本当の気持ちや考え方は違うことが当たり前です。

そしてあなたの思いも寄らない大問題を起こし、自分の保身のことしか考えずにあなたに全ての責任をなすりつけます

相手の欠点を探して自分の方がしんどいと思い込む

創業して間もない頃は特に忙しく経済的にも厳しい時期です。

アルバイトなど副職をしながらの生活をせざるを得ないこともしばしばです。

そうした軌道に乗るまでの時期につい思ってしまうのが、相手の仕事や生活と自分の仕事や生活を比べてしまうこと

「あいつに比べたら俺の方ががんばっている

 なんであいつは楽なのに俺を助けてくれないんだ?

必ずこんな風に思う瞬間がきます。

私も友達が掃除をロクにしてくれないことなど、性格はとっくに理解しているのにイライラしたことがあります。

 

学習塾の場合は、定期テストなど成績がシビアに2人の差を見せつけてきます

そのときに「あいつばかり楽な生徒や教科ばかり担当しやがって」と普段なら思わないようなことで、関係を悪化させていきます。

なんて馬鹿なことで・・・と思われるかもしれませんが、私が実際にぶちまけられたことです

また、2人の副職の時間や時間帯が違いすぎると話し合いの時間も減り、自分の方がしんどいのにがんばっているという考えに陥りやすくなります

経済的にも精神的にもベースが平等か?

「ごめん、今お金ないからしばらくそっちが家賃出しておいて」

そんなことを言われることがあるかもしれません。

恥ずかしい話ですが、私はありました

また、どうしても生活スタイルが他の友人たちとかみ合わなくなり、二人で食事に行くことが増えたりします。

プライベートの時間で友達として話しているつもりでも、心の底からリフレッシュはどうしてもできていません

プライベートの時間はお互いにしっかり確保できているでしょうか?

まとめ:友達と共同経営するなら最悪の場合も想定すること

友達だからこそ失敗しやすくなります。

むしろ、友達だからこそ失敗します

それまでの均等で平等な友人関係が長ければ長いほど上手くいきません

友達でもありビジネスパートナーでもあるという考え方を捨てて、完璧にビジネスパートナーとして割り切ることが失敗しないための絶対条件です。

それでも友達として共同経営をしたい!自分たちなら大丈夫だ!と思うのなら始めればいいです。

ただ、もしもの時には今まで築き上げた友人との関係はすべて消え失せ、なにがしかのマイナスを背負う覚悟をしてください

ちなみに私も自分たちなら大丈夫だ、他の人たちとは違うと思って忠告に従わずに始めた人間です。

どうかよく考えて、周りの忠告に耳を傾けてください。

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